2011年 12月 31日
暮れて明ける
|
2011年度中にこの記事に行き着いた皆様には、ちょっとフライングですが、あけましておめでとうございます。
以下、年の終わりにちょっと考えたこと。
2011年は、わたしにとっても震災の年以外の何ものでもありませんでした。
関東に住んでいるわたしは、あの日いくつかの家具が動き出し、アトリエのガラクタがすこし崩れた以外は、大した被害にはあいませんでした。
翌日からの買い占めや、しばらく続いた計画停電なども、まあ、特に耐え難いようなものではなく、
物理的に苦しいことなどひとつもありませんでした。
というか、文句などいえる心境ではなく、あの日からしばらくは、ただただテレビの映像にかじりついていたのです。
信じ難い津波。
きれいに編集されて消えてしまった、あの波に飲み込まれたであろう幾多の人々。
そして原発事故。
画面を見るほどに言葉を失い、涙さえ浮かび、でも目をそらすことが出来ません。
明らかにわたしはダメージを受けていました。
募金以外に何ら具体的な支援が出来ない自分をふがいなく思いつづけ、
どうにも居心地の悪い数ヶ月を過ごしました。
いまでも、心のある部分には、どんよりと重いものがあります。
そして、それはおそらく日本中の多くの方がそうなんだとも思います。
例えば復興について、
あるいは放射能について、
自分は正しい知見を持ち合わせているのかどうかわかりません。
いや、おそらく持っていないでしょう。
なので、どっちに進んでいくべきなのか、自信を持って声を上げることすら出来ません。
ただ思うのです。
こうなってしまった以上、後始末はみんなでする以外にないではないのかと。
天災は仕方ありません。
けれども人災は、
過去から現在に至るまで、私たちの代表だったり、
私たちが承認し、享受したシステムだったり、
あるいは私たちが異議を唱えることを怠ったあらゆるものから、出て来ています。
わたしは原発の危険性を真剣に考えたことがありませんでした。
政治というものに積極的に関わらず、政治家に厳しく要求することもありませんでした。
何より意見を異にする同士が、物事を前に進められなくなっていることに、
さほどの危機感を持ち合わせていませんでした。
わたしたちは、自分達の犯した間違いを噛みしめなくてはなりません。
人災は誰のせいでもなくて、自分達のせいなのです。
極論でしょうか?
しかし、他人の不手際をあげつらったり、自分の知見を誇ったり、
ましてやこれ幸いと、自分の主義主張を喧伝したりする前に、わたしたちにはやるべきことがあるはずです。
端的に言います。
もしもどうしても浴びなくてはならない放射線があるのなら、わたしたちは、みんなで浴びなくてはなりません。
福島が日本中の過ちの尻拭いをしなければならない道理はありません。
それが、テレビでお気軽にいわれるのとは違う、本当の意味での絆なのではないでしょうか?
2012年が皆様にとって希望の見える年でありますように
by ta-gu-chi
| 2011-12-31 18:16
| その他
|
Comments(4)
Commented
by
しみっち
at 2012-01-01 18:35
x
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。先生の作品、教室のとくに子どもたちの作品、どれも楽しみにしております。そして、こういう、「雑文」といっておられますけど、いつもハッとさせられています。本当に、みんなで希望を見いだしたいですね。
自分で書くブログはやめてしまったんですが、またときどき覗かせていただきます。
自分で書くブログはやめてしまったんですが、またときどき覗かせていただきます。
0
Commented
by
ta-gu-chi at 2012-01-02 21:56
しみっち先生、あけましておめでとうございます。
それと、ありがとうございます。
わたしのような、高度成長期に子供時代を過ごして、でも新人類が現れる一歩手前の世代というのは、青臭い理想を捨てきれずに甘ちゃんなところがある、あまり逆境には強くない人たちなんですね。
今の世の中、そういう話は顧みられないですけれど、だれも理想を語らない世の中ってのも、かなしいですよね。
しょっちゅうだと、疲れちゃうんですが、時々思ったことを書いていければいいかなと思ってます。
それと、ありがとうございます。
わたしのような、高度成長期に子供時代を過ごして、でも新人類が現れる一歩手前の世代というのは、青臭い理想を捨てきれずに甘ちゃんなところがある、あまり逆境には強くない人たちなんですね。
今の世の中、そういう話は顧みられないですけれど、だれも理想を語らない世の中ってのも、かなしいですよね。
しょっちゅうだと、疲れちゃうんですが、時々思ったことを書いていければいいかなと思ってます。
Commented
by
スズキ
at 2012-01-05 11:01
x
おとなはいいんですけどね−。こどもや、これから産まれてくる子たちには、私、「古い世代の絆」は関係ないんですよね。こどもだってすぐ大人になっちゃうんだけど、今のままだと「うまれついての墓守」にされそうで、不安なんです。
Commented
by
ta-gu-chi at 2012-01-05 12:22
はい。そのことについても考えました。子供のいない自分が何かをいっても説得力はないかもしれないのですが・・・それでも日本で子供を育てるということは、もうそれなりの覚悟を持たなくてはならないのかなと。もちろんやれる努力はした上での話ですけれどもね、極論をいえばみんな北海道か西日本に住めばいいんですよ、でもそれは出来ないのですから。
また、うまく言葉に出来るようになれば、書いてみたいと思います。
また、うまく言葉に出来るようになれば、書いてみたいと思います。